▼英語を好きにさせる魔法の授業
田尻は、授業を始めても教科書をいきなり開かせない。
配ったのは人気アニメキャラクターが描かれたプリント。
この日の授業のテーマは、新しく教える疑問詞の「who」。
説明もせずに、いきなり英語で質問を始めた。
「Who is this? Raise your hand! It's....?」
一人の生徒が恐る恐る「It's...たこやきまん」と答える。
田尻は満面の笑みで大きくうなずく。「Very good!」
ゲームだとわかった生徒たちは、一気に乗ってきた。
声をあげ、競って手を挙げる。
生徒が答えを間違えると、田尻は全身で残念がる。
正解すると破顔一笑、大きなリアクションで盛り上げる。
生徒を心から楽しませるこのゲームは、授業を始める前の準備運動。
教室の熱気が最高潮に達すると、おもむろに教科書を開かせる。
会話の練習では、クラスを4〜5人のグループに分け、
例文とともに生徒たちに英文を考えさせ、読みあげさせる。
そして、読みあげる時間をストップウォッチで計り、グループで競争させる。
他のグループに負けまいと、皆、必死になる。
競わせ、夢中にさせることで、勉強であることを忘れさせる。
それによって英語を身近なものにしようというのが、型破りな授業の狙いだ。
(プロフェッショナル仕事の流儀9 File No.25より)
08/19:反田快舟
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