なぜ記録を残すのか:中小企業の未来を拓くコンサルネット

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なぜ記録を残すのか

留学時代、佐野さんは関わった手術の記録をすべて手書きのメモに残したという。

5年間の留学時代にとった記録は、段ボール箱の中に大量に残してあります。
一般的な手術記録は、どういう手術でどういう流れで行ったかということは書いてありますが、
後からそれを見ても手術はできません。テクニカルなことは細部まで書かれていないからです。
それでは若い医師には理解できません。

そこで私は、通常の記録のほかに、自分なりのメモを書きとめていました。
そうすることで細かいノウハウがわかります。
たとえ自分が行った手術でも、同じことをまたしようと思うと覚えていないものです。
だから、手術の後でそれを思い出しながら、自分なりの記録を書くんです。
これを自分で書くか書かないかでは、ものすごい差が出ます。
書いている人は一度の手術で、一人の患者さんから二回も三回も教えられることになる。
それは三度の手術以上の価値があります。

何も考えず、ただ漠然と手術をしたら、100例でも1000例でもいっしょ。
それよりも、例え50例でも一つひとつの手術に集中した方がいい。
こうしてメモに書き出せば、自分がどれだけ集中して、どれだけ理解しているかがはっきりわかります。
しかも、後に残る。このメモが後輩にも役立つし、自分の師匠にもなっています。

これは別に努力ではありません。普通のことなんです。
プロを目指す限りは、これくらいのことをするのは当たり前。
それをしない人はプロにはなれないと思います。
By佐野俊二

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)

経営コンサルタントの仕事に「診断」というのがあります。
いわば経営の処方箋を書くのですが、この原稿を書くのが難しいのです。
先輩たちが残してくれた「診断書」に幾度助けてもらったか。
自分はどれだけのものを残したかと考えると忸怩たるものがあります。

2008/01/20 13:10:consulnet.co.jp